分譲マンションやアパートを所有する方や、不動産オーナーにとって、建物の大規模修繕は避けては通れない課題です。
大規模修繕は、建物の寿命を延ばし、資産価値を高め、住環境を改善して住み心地の良い環境となりますが、工事コストは高く、近年の物価高でコストは上昇しています。
大規模修繕はタイミングが重要です。修繕を行うことで、安全性向上、居住環境の改善、さらには将来的なコスト削減など、多くのメリットが得られます。
この記事では、大規模修繕の必要性とメリットを大規模修繕アドバイザーの福島が解説し、建物の長期的な価値を守るための秘訣をお伝えします。
大規模修繕工事が必要な3つの理由
大規模修繕工事が必要な理由は、資産価値を維持し、快適な住環境を保持する為に必要な工事です。
建物全体の機能や美観、災害などから建物を守るには、経年劣化する建物を修繕する必要があります。
大規模修繕は、一般的には12年から15年ごとに行われ、外壁の塗装、屋上の防水工事、給排水管の交換などが含まれます。
大規模修繕が必要な主な理由は以下の3点です。
安全性の確保
建物の構造的な問題を早期に発見し、補修することで、居住者の安全を守ります。
地震や台風などの自然災害に対する耐久性を高めることも重要なポイントです。
資産価値の維持
建物はメンテナンスを行うことで、資産価値の低下を防ぐことができます。
将来的な売却や賃貸を検討している場合、「大規模修繕が計画的に実施されているかどうか」は重要な判断材料となります。
居住環境の向上
居住空間は設備が古いものだと、快適性が損なわれます。省エネ性能も高め、より快適な生活空間にするために新しい設備の導入も検討する必要があります。
大規模修繕を行うことで、建物の寿命を30年から50年以上に延ばすことも可能です。
エレベーターやインターフォンなどのメンテナンスや、防犯カメラ等の設置によりセキュリティも高めて行く必要があります。
近年、闇バイトを通じた強盗事件なども起きているため、マンションのセキュリティはより厳重にしておく必要もあります。
このように時代や社会状況に合わせた設備の導入も検討する事が大切です。
大規模修繕工事のメリットとデメリット
大規模修繕工事を検討する際には、そのメリットとデメリットをしっかりと理解することが重要です。
大規模修繕工事のメリット
大規模修繕工事には、以下のような多くのメリットがあります。
- 建物の長寿命化
修繕を行うことで、建物の寿命を大幅に延ばすことができます。
長期的に見ると、建て替えよりも費用を抑えられる可能性があります。
- 資産価値の維持・向上
定期的な大規模修繕は、建物の資産価値を維持するだけでなく、価値を向上させることもあります。
特に、駐車場や省エネ設備の導入などは物件の魅力を高めます。
- 雨漏りを防ぐ
「雨漏りを起こさないこと」が住人の安心に繋がります。
雨漏りは、一度起こると工事費が高くなるため、防水工事により「雨漏りを防止する」ことが大切です。
- 居住環境の改善
最新の設備や材料を用いることで、利便性やセキュリティ、断熱性や防音性の向上など、居住環境を大幅に改善できます。
- 安全性の確保
構造的な問題や劣化を早期に発見し、補修することで、建物の安全性を高めることができます。発見が遅れると費用が逆に上昇してしまいます。
- エネルギー効率の向上
省エネ技術を導入することで、建物全体のエネルギー効率を向上させ、光熱費の削減されます。
生活費の削減は住人の満足感に繋がるでしょう。
- 外観を改善する
屋上や外壁、共用部分のリニューアルにより、建物の見た目が大きく改善されます。
- 将来の修繕費用の削減
計画的な大規模修繕を行うことで、将来的に発生する可能性のある大きな修繕費用を抑えられます。
これらのメリットは、建物の所有者と居住者の双方にとって、大きな利益をもたらします。
大規模修繕工事のデメリット
一方で、大規模修繕工事には以下のようなデメリットも存在します。
- 高額な費用
大規模修繕工事には多額の費用が必要となります。
- 工事期間中の不便
工事期間中は、騒音や振動、一時的な設備の使用制限などが発生し、日常生活に支障が生じる可能性があります。
- 合意形成の難しさ
特にマンションなどの集合住宅では、工事の実施や内容について、所有者全員の合意を得ることが難しい場合があります。
- 予期せぬ問題の発生
工事を進める中で、当初予想していなかった問題が見つかり、追加の費用や工期の延長が必要になることがあります。
- 一時的な資産価値の低下
工事期間中は、建物の外観や機能が一時的に損なわれるため、短期的には資産価値が低下する可能性があります。
これらのデメリットを軽減するためには、事前の情報共有、適切な業者の選定、綿密な計画などが重要となります。
大規模修繕を管理会社に依頼するメリット・デメリット
大規模修繕工事を実施する際、管理会社に依頼するかどうかは重要なポイントとなります。
管理会社に依頼すると作業はスムーズで安心できますが、コストはどうしても高くなります。
その他にもメリット・デメリットがあるので、下記で紹介していきます。
管理会社に依頼するメリット
大規模修繕を管理会社に依頼するメリットは以下になります。
- 専門知識を持っているので安心できる
管理会社は建物管理のプロフェッショナルとして、大規模修繕に関する豊富な知識と経験を持っています。
- 工事業者の選定をサポートしてくれる
信頼できる工事業者の選定は、大規模修繕の成功に大きく影響します。
管理会社は多くの工事業者とのネットワークがあり、適切な業者の選定をサポートしてくれます。
- 手続きの簡素化
大規模修繕には多くの法的手続きや書類作成が必要ですが、管理会社がこれらを代行することで、所有者や管理組合の負担を軽減できます。
- コスト管理の適正化:
管理会社は豊富な実績があり、予算設定や費用管理を行うことができます。
- スムーズな合意形成
- 管理会社は中立的な立場から、管理組合内の意見調整や合意形成をサポートします。
これらのメリットは、特に大規模修繕の経験が少ない管理組合や、専門知識を持たない管理組合にとって大きな助けとなります。
管理会社に依頼するデメリット
多くのメリットがある反面、デメリットも存在しています。
- コストの増加
管理会社への委託費用が追加で発生するため、全体的な工事費用が増加する可能性があります。
また管理会社はコストパフォーマンスが良い企業を探すこともあまりなく、既に付き合いのある業者を選ぶこともあるでしょう。
- 管理組合にノウハウや知識が身に着けない
管理会社に依存しすぎると、所有者や管理組合にノウハウ・知識が蓄積しません。
本来不要な工事を行ってしまったり、物価高の時代に節約する工夫ができなかったりします。
- 利害関係・癒着の存在
もしも管理会社と工事業者の間に癒着があった場合、適切な業者選定や費用交渉が行われない可能性があります。
大規模修繕は、依頼する相手によって2倍以上の差がつくことがあります。管理会社に依頼すると費用が高くなることが多々あります。
- 柔軟性がない
管理会社には大規模修繕の流れが組織的に決まっています。その方法を変えることを嫌がる傾向があります。
建物の個別の事情や、所有者の希望、コスト削減などが反映されにくくなる可能性があります。
- 工事業者とコミュニケーションができない
管理会社を介することで、所有者と工事業者の直接的なコミュニケーションが曖昧になります。
細かなニーズや住民からの要望、工事の進行についての懸念点など、伝わりにくくなる可能性があります。
これらのデメリットを最小限に抑えるためには、そもそも管理会社に依頼するかどうか慎重に考える必要があります。
管理会社に依頼するのは安心で楽ですが、費用が高くなる可能性は高いでしょう。
万が一、癒着があった場合、損するのは管理組合であり、住人です。
大規模修繕なら大規模修繕コストカットナビにご相談を
大規模修繕は、建物の寿命を延ばし、資産価値を高めるための重要な工事です。
しかしメリットとデメリットがあり、高額な工事であることからデメリット部分はしっかり理解しておきましょう。
管理会社への依頼の是非などもしっかりと議論し、建物の状況に合わせて最適な選択を行うことが大切です。
大規模修繕コストカットナビは、大規模修繕にかかる費用を大幅に削減することができますので、ご気軽にご相談ください。